大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(あ)148 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中六〇日を本刑に算入する。

理 由

弁護人寺田熊雄の上告趣意第一点について。

本件において麻薬の取得が同時であつても、後になつて態々麻薬の所持を分割し

て一は被告人自身で直接に所持し他はAに保管させて間接に隠匿所持したものであ

つて、原判決がかかる状況の下においては社会通念上二ケの所持があると見るのを

相当とする旨を判示したのは正当であり、右は当裁判所の判例(昭和二三年(れ)

第九五六号同二四年五月一八日大法廷判決)にそうものであつて之に反するもので

はない。論旨は採用できない。

同第二点について。

第一審裁判所が被告人が麻薬であることを知つた昭和二四年六月二日頃から本件

麻薬を所持していたものと認定した意味は、麻薬の認識の時期が六月二日に始まつ

たというのではなく、第一審公判廷における被告人の供述の内容からして(供述記

載が証拠となつているのではない)六月二日頃からは、被告人において麻薬の認識

があつた旨を判示したに過ぎないものである。そして右認識の日時に多少の齟齬が

あつても右日時は犯罪の成立には影響を及ぼすものではないから、第一審判決を是

認した原判決は正当であつて論旨は理由なきものである。所論の判例は、本件に適

切でない。

同第三点について。

被告人が無罪と推定されているのは事実審で事実に基いて有罪と認定されない前

のことである。なる程被告人が無罪を主張して上訴している間は有罪か無罪かが確

定はしないが、被告人は有罪判決を言渡された者であるから有罪者と一応は推定さ

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れるので無罪者として取り扱われるのではない。被告人は詐欺罪によつて懲役八月

に処せられ控訴保釈中に本件犯罪を行つたものであるから、原審が第一審量刑の不

当でないことの情状の一つとして右事実を判示したとしても、之をもつて正義に反

するものとは云い得ない。論旨は理由がない。

被告人Bの上告趣意は、何れも刑訴法四〇五条に定めてある事由に該当しないし

又同四一一条を適用すべきものとも認められない。

よつて刑訴法四〇八条刑法二一条により主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二五年七月一四日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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